「甲賀忍法帖」はやっぱり面白かった。
じつは山田風太郎作品を読むのは、なんと初めてだったのですが、やっぱり甲賀忍法帖は面白かった!
もちろん山田作品を原作とした映画、漫画には触れている。
深作欣二監督の「魔界転生」は最高だったし、石川賢先生の「柳生十兵衛死す」も未完だったが大好きだった。
ただ「甲賀忍法帖」を原作としたバジリスクは絵柄が好みでなく、映画「SHINOBI」もなんか好きになれなかったこともあり、なかなか手がつかないままだった。
小山春夫先生の漫画版は流通的な意味で手がないんだよなぁ(苦笑)
仕事柄一度読んでみようと思って手にしてみたら、たしかに面白い。いや面白すぎる!
ちょっとエロいところもいい(笑)
忍者小説という範疇を越えて、SFアクションエンターテイメントという感じで、その後の映画・漫画に与えた影響は計り知れないのではないのだろうか?
甲賀と伊賀、それぞれの精鋭10名が殺し合うという話なんだけど、そもそもそのコンセプト自体が面白いし、出てくる忍者はみんな常軌を逸している技の持ち主ばかりで、登場するだけでワクワクしてしまう。
次に出てくる忍者はどんな奴が出てくるんだ?アイツとアイツが闘ったらどうなるんだろう?みたいな感じでそれだけでお腹いっぱいだった。
忍者コンテンツで一般的な手裏剣が飛回るとか、ドロン系の忍術は基本出てこない。
忍者というより、アメコミのXメンに出てくるミュータントみたいなのばかり。
壁に一体化して姿消す忍者、手足がないのに蛇にみたいに高速で移動する忍者、身体中から血を噴き出して霧をつくるのやら。。。
一応、常軌を逸しているのに科学的な裏付けがあるような表現がされているんだけどね。
でも絶対ありえない(笑)
白土三平先生も影響されているのは間違いない。
なんとなく石ノ森先生の「サイボーグ009」にもつながる匂いもするんだよなぁ。
意外だったのは、日本の歴史小説なのに”ロミオとジュリエット”なんて単語が出てきたこと。
この作品は50〜60年代の忍者小説ブームの中の作品だけど、同時期の司馬遼太郎先生の作品に絶対出てこないだろう。
司馬先生は史実をベースに大量に資料を集めて、ど渋でリアルな忍者小説を面白く組み立てていくんだけど、山田先生は想像力をブワーって拡げて本来あり得ないんだけど、科学的根拠みたいなのをくっつけて、エンターテイメントな話を作るというように感じか。古くさい感じがしなかった。
その後の日本のコンテンツにつながる新しいスタイルを確立したのは間違いない。
ボリュームも文庫本1冊で収まっているし、忍者が好きでない人にオススメでござるよ。
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