「SFサムライフィクション」の忍者谷啓のリアリズム

公開日: : 最終更新日:2014/08/26 映画 , , ,

中野裕之監督の作品で忍者というと「RED SHADOW 赤影」を思い浮かべる人は多いかもしれない。

でもどっちかというと「SFサムライフィクション」のほうが好きだ。

体操選手を使った忍者アクションも新鮮で大好きな麻生久美子さんが出ていたりと、「RED SHADOW 赤影」も自分の中では好きな映画ではあるけど、サムライフィクションには、たまらなく好きなシーンがいくつかあるのでござる。

 

一番はなんといっても谷啓さんが出ているシーン。

彼が演じている老人忍者が殿様に呼ばれて天井から畳に飛び降りるシーンがなんともいえない。

もう老人なので現役のころのようにいかず、着地するとフラフラしてしまい、よろめきながら「はっ!。。。お呼びで」と応えます。

長く主従関係を結んでいる思われる殿様からもあきれられて、「無理はするな」と言われるのに頑張っちゃう(笑)

忍者も年を取るっていうところがなんともリアルで、殿様とのやりとりも、なんだかしみじみきちゃうんですよね。

 

ちなみに白土三平漫画では使えなくなった老忍者は忍者部落でのたれ死にするまでただ飼われるように生きる宿命なんですよ。。。

あ、戦国時代の忍者はお金で雇われて派遣されていたりするけど、江戸時代なるとさまざまな役職に召し抱えられることも少なくなかったらしいです。

 

あと忍者絡みじゃないけど、若い友人同士の武士たちが頭頂部の部分を並んで剃るシーンが、まるで現代の若者が鏡みながら髪をセットするような青春の一ページとして描かれていたところも最高でござった。

現代に生きる我々も江戸時代の人々も、普通に人間の感情を持って生きていることには違わないはずなんですよね。

このなんともいえないリアリズムと漫画「へうげもの」やテレビ番組「戦国鍋TV」にも通じる面白味がホントたまらんのです。

 

1998年の作品なんですが、やっぱりあえて白黒にしたり、古い映画のオマージュ的な要素もいれながら、新しい表現に挑戦をしたというところが良かったんじゃないかな。

個人的にはミュージシャンが役者として多く出演していて、大好きなルースターズの花田裕之で出てるのもビックリだった。まぁ、ほとんどのみなさんにはどうでもいいことでござるね。緒川たまきさんが、タマランというところも含め(笑)

 

とにかく忍者デリバリー的には忍者の谷啓さんは最高なので、是非観てくださいね。

ではまた!ドロン。

 

 
 
 

関連記事

ジョン・ベルーシのビックリな身体能力?【ニンジャな人々】

ども!今日の【ニンジャな人々】なんですが、 いきなり「ジョン・ベルーシ(John Belush

記事を読む

アイヌの血を引く忍者の冒険活劇【映画「カムイの剣」のレビュー】

以前、前のBlogでも取り上げた「カムイの剣」だけど、今度はアニメ映画の話。 映画「銀河鉄道9

記事を読む

映画「Taxi2」と忍者、そしてパルクール

昨日パルクールで街中を飛回る忍者女子校生の動画について触れたんだけど、パルクールはその紹介文句として

記事を読む

バットマンは忍者の修行してヒーローになった!?

バットマンが映画「バットマン・ビギンズ」でヒーロー活動をする前にヒマラヤで忍者の修行したという設定が

記事を読む

ドロン無しのリアリズム 映画「忍びの者」

たまには忍者映画のことでも書いてみよう、そう思ったら頭に浮かんで来たのは映画「忍びの者」でござった。

記事を読む

ぜんぜん可愛くないけど観に行った「ミュータントタートルズ」

仕事とかなんとか言って「ミュータント・タートルズ」(吹き替え)を観て参りました! 世界的に有名

記事を読む

映画「忍者武芸帳」の斬新さには忍者もビックリ

たまたまテレビで大島渚が取り上げられているのを見て、彼の手による映画「忍者武芸帳」をふと思い出した。

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ねことんの術
隠れた傑作「なん者ひなた丸ねことんの術の巻」

隠れた傑作!と書いたが、案外子供のころに読んだという人もたくさんいるか

鎌ヶ谷でネパール料理を食べて踊る忍者

いろいろと縁があって、千葉県の鎌ヶ谷までカレーを食べに行きました。

ぜんぜん可愛くないけど観に行った「ミュータントタートルズ」

仕事とかなんとか言って「ミュータント・タートルズ」(吹き替え)を観て参

心が”ほっこり”っとした「忍法大全」

忍者関連の本を読んで”ほっこり”っとすることがたまにある。 でも

「甲賀忍法帖」はやっぱり面白かった。

じつは山田風太郎作品を読むのは、なんと初めてだったのですが、やっぱり

→もっと見る

PAGE TOP ↑