アイヌの血を引く忍者の冒険活劇【映画「カムイの剣」のレビュー】

以前、前のBlogでも取り上げた「カムイの剣」だけど、今度はアニメ映画の話。

映画「銀河鉄道999」で有名なりんたろう監督が手がけたんだけど、999に匹敵する素晴らしい作品だと拙者は勝手に思っている。

アニメは小説の1巻2巻をまとめた内容で、アイヌと和人の混血で忍者の主人公が北海道からアメリカまで海賊キャプテンキッドの宝を追って大冒険をするという内容でござる。

忍者、幕末、西部劇、海賊、宝探し。。と、いかにも男子の好きなキーワードが満載。

そして人種差別や今にも通じる近代文明への批判のような要素もさりげなく盛り込まれてる。(アイヌ・和人の混血の主人公が、アメリカ人の奴隷を救ったり、西部の街で白人に差別をされるシーンなどがある。アメリカ先住民と関わりも興味深い)

かなりボリューム満点な内容だけど、消化不良感は全くない。

単行本で十数巻もある「銀河鉄道999」を1本の冒険活劇ロードムービーに仕立てた、りんたろう監督ならではの手腕が発揮されていて、最初から最後まで一気に楽しめるでござるよ。

映像も本当に素晴らしい。

シンプルに雪が降るシーンから、忍者同士の戦いのスピード感あふれる動き、敵忍者の幻術のサイケデリックな演出まで、当時ならではの表現であったりもするが、色彩も美しく、今みても惹き付けられるものがある。

 

流れてくる音楽もタマラン感じです。

宇崎竜童と「鬼太鼓座」や「鼓童」とも関わりがある和太鼓奏者の林英哲が作る和太鼓とロックやファンクを融合させた演奏に、インドネシアの”ケチャ”が入り乱れるサウンドは当時としてはかなり斬新だったと思う。

とくに”ケチャ”はドラムンベースのようなスピード感が激しいアクションシーンにマッチしていて、最高でござる。

 

そして声優のキャスティングがスゴイ!!

なんと主人公は、あの”真田広之”が担当しているのだ。

伊賀甲賀そして宇宙の忍者も演じているあの真田広之でござるよ!

声優だから、本人のアクションはないんだけどね(笑)

じつは映画の中で、忍者の主人公とガンマンが西部劇さながらに決闘するシーンがあるんだけど、後の岡本喜八監督の「East meets West」でガンマンと闘うサムライを彼が演じることを考えると、とても感慨深かったござる。

 

いろいろ書いたけど、アニメ映画「カムイの剣」は、当時ヒットすることもなく(幻魔大戦に続く角川アニメだった)、知る人ぞ知る作品になってしまっていることが、ひどく残念。

機会があれば是非是非、観て欲しい作品でござる。

では今回はこの辺で。

ドロン!
 

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