映画「忍者武芸帳」の斬新さには忍者もビックリ

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たまたまテレビで大島渚が取り上げられているのを見て、彼の手による映画「忍者武芸帳」をふと思い出した。

世代によっては、大島渚と言えば野坂昭如と殴りあったり、テレビに出ているいつも怒っていた人のようなイメージを持つ人も多いだろう。

そういう自分も子供のころ、”カントク、カントク”と呼ばれているのを聞いて、一体何やっている人なんだろうと思っていた(そういえば山本晋也カントクも同様だったなぁ)。みうらじゅんのバンドの名前になっていたり、よけい訳が分からなかった。

その後大人になって「愛のコリーダ」や「戦場のメリークリスマス」などを観て、すごい映画監督だったということをやっと理解したのだけど、まだ若かりし頃「忍者武芸帳」は白土三平の貸本時代の長編で超名作ということもあって、かなりの期待を胸に鑑賞したのを憶えている。

一言で言えば、とにかく斬新な作品だった。

恐らくよほどの低予算だったのだろう。

漫画のコマをフィルムで撮影したものを音声をいれて、編集し、1本の映画として完成したものだった。漫画の原画を利用していて、実写でもアニメでもないのだ(モンタージュという技法らしい)。

映画の内容は漫画そのままで、すでにストーリーを知っていた自分にはそれなりに楽しめるもの、という程度のものだったが、今改めて大島渚の凄まじさを感じるのは、そんな方法をおもいつき、映画作品として完成させて発表させてしまう、そのゲリラ的なやり方だ。

予算があろうが無かろうが関係ない、見ろ!こんなやり方もあるのだ、という声が聞こえそうな大島監督の気概がひしひしと感じられるのだ。

他の作品でも同様で、金のかかかるスタジオでの撮影はせずに、手カメラでドキュメンタリー風に生々しい映像を撮ることで低予算を乗り切るだけでなく、かえって心に刺さる作品を作っている。

また代表作と言われる「愛のコリーダ」(阿部定事件をテーマにしていて、作品中に性器が露出していたりする)では公権力からの干渉を考え、わざわざフランスで現像するなど、作品に対する執念、目的に対して手段の選ばないスタンス、変幻自在さは本当に素晴らしい。

その姿勢はいち忍者としても頭が下がる想いでござる。

もっとも予算は潤沢にあればそれに越したことはないでござるけど(笑)

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