【レビュー】みんなが思い描く”忍者像”とはなにか?「忍者文芸研究読本」
”ニンジャというコトバのチカラ”というタイトルで記事を描いたんだけど、今年5月に発売された「忍者文芸研究読本」は、世の人々がイメージする”忍者像”はどのようにしてできていったか、がテーマの本。
本物の忍者はどうだったのか、史実はどうであったか?について書かれた本はたくさんあるけど、これは面白い視点。
直接忍者を知る人はその性質上、ごくごくまれである。
当然一般的には当然メディアを通して”忍者”を知るのだが、この本は歴史的な書物から小説、歌舞伎、コミック、映画など忍者が登場するものを取り上げ、日本のみならず海外(なんとアメリカのみならず、中国、ロシアの事情までにも触れている)を含め、人々の間で”忍者像”がいかに形成されていったのか、各分野で研究されている方々によって綴られている。
”忍者”に関わる史実とフィクション、全てを包括的にとらえようとしているのだ。
うーむ、堅い。。忍者デリバリーらしくないでござるな(笑)
でも、これ本当に素晴らしい視点なんですよ。
個人的にはカムイ伝第一部の徳川幕府の根底を覆す秘密くらいのインパクトがある。ちょっと大げさか(笑)
突っ込んでいくと井戸のように深いテーマだから、酒が入って語り合ったりすると、きっと面倒くさい話になるんだけどね。
あと実際の忍者は手裏剣をテレビ・映画のようには使っていなかった、なんてことを耳にしてしまうとガッカリすることもあると思うけど、史実は史実として、フィクションの中で作られた忍者もみんなの心の中にあるものなんだ、と思うと、なんだかちょっと救われる気がする。
やっぱり手裏剣、投げてほしいじゃない?
ムササビの術とか、ああいうのをいきなり無茶ぶりされるのは、キビシイけど(笑)
ちなみに「忍者文芸”研究読本”」と本のタイトルにあるんだけど、これはとても的を得た表現で、研究論文が並んでいる感じなので、くだけた内容では決してないでござる(表紙は普通の忍者関連本のようだけど)。
学生時代の記憶が蘇り、切ない思い出も頭に浮かんだでござるよ。。。
ちなみに”拙者が大好きな相原コージ先生の漫画「ムジナ」もまじめに取り上げられ、論じられています。
そういった意味では万人にすすめられる本ではないが、拙者のような忍者にとってはとっても貴重な内容。
巻末の資料も実用的な内容で、非常にありがたいです。
(年表をみて、この作品がこの時期にでたのかぁ、など意外な発見もあって楽しい)
忍者のセミナーでも質問に丁寧に応えてくださる山田雄司教授をはじめ、研究者の方々、書籍にしていただいた方々にも感謝でござる。
世の中、人知れずこのように暗躍している人々がいるお陰でまわっているのでいるのでござるなぁ。
ではでは今日はこの辺で。
ドロン!
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