隠れた傑作「なん者ひなた丸ねことんの術の巻」
隠れた傑作!と書いたが、案外子供のころに読んだという人もたくさんいるかもしれない。
少し前の本だけど当時人気は実際にあったはずで、シリーズを通して15作品も書かれている。
ただ忍者仲間の間で一度も話題になったことがなかったので、いつか紹介しようかな、と思っていたのがこの作品。
忍者ネタは、絵本や児童書にはホントに数多く登場するので、表紙だけで判断をすると、まぁよくある可愛らしい忍者の児童書だわね、なんて思うだろう。
拙者もそうだった。忍者ものだし、一応目を通しておくか、くらいに思っていた。
ところが実際読んでみると、大人の自分が読んでも面白い。
児童書なので大好きな白土マンガのようなハードさのかけらもないが、びっくりするほど設定がリアルなのだ。
主人公のひなた丸は忍者の里に住む子供のなん者。
”なん者”ってなんじゃ、って感じでちっともリアルではないが、ちょっと待って。
この里ではスキルによって忍者が3つの種類に分けられている。
まだまだ修行段階のものを”なん者”、現場でバリバリ働けるものを”にん者”、達人クラスの忍者を”ぬん者”と呼んでいるそうだ。
ここまでは、そうなのフーンという感じではあるのだが、この忍者の里、武士からの発注で仕事をするシステムになっている。
ときは戦国時代で、主人公の両親をはじめとした忍者は、日々忙しく働いていて、ひなた丸は”ぬん者”の祖父とお留守番という設定。
この時点で忍者が好きな人ならピンとくると思うが、この忍者派遣システムは昔伊賀で実際に行われていたシステム。
この設定をもってくるあたり、作者は只者ではないのである。
この”なん者にん者ぬん者”シリーズは、お得意様の武士が依頼にやっているところからだいたい始まる。
戦国時代は忍者が一番活躍した時代。両親のような”にん者”は出払っているので、半人前の”ひなた丸”が一生懸命頑張って依頼をこなす、というパターンだ。
依頼も荒唐無稽なものはないし、忍術も多少無理はあるがドロンで消える系の超常現象的な術は登場しない(タイトルのねことんの術もふくめ)。
ちゃんと話として読ませる内容で、コミカルで人情味もあり、すっかりハマってしまった。
15巻まで続いたこのシリーズ、基本1冊完結だけど、ちゃんと繋がっているので、是非1巻からよんで欲しい。
ちなみに作者は最近アニメになった「ルドルフとイッパイアッテナ」を書いた斉藤洋さんという方です。
じつは中高学年向けに「西遊記」も書いていて、こちらも10巻で完結する長編なんだけど、面白い!
本が苦手なお子さんにオススメです。
関連記事
-
【注意】大根おろしの汁は空腹時にはとてもキケン!
これは皆さんへ積極的にお伝えしなければならないと思い、忍者としてはちょっと迷ったがblogに書いてお
-
忍者の変装の術「七方出(しちほうで)」現代だったらこんな感じ?
♪ヤマトナデシコ七変化、なんて唄があったけど「七方出(しちほうで)」という7つの職業に変装する術があ
-
NINJA!にんじゃ!忍者!〜”ニンジャ”というコトバのチカラ
以前、甲賀流忍術の継承者川上仁一先生とお話させていただく機会があったのですが、こんなことをおっしゃっ
-
続【レポート】第6回伊賀流手裏剣打選手権大会・東京予選に行ってきた(午後の部)
ども!忍者デリバリーです。 前回に引き続き、伊賀の手裏剣大会江戸予選のレポートでござる。
-
【レポート】第6回伊賀流手裏剣打選手権大会・東京予選に行ってきた(午前の部)
昨日9/7(日)は伊賀の手裏手裏剣大会江戸予選。当初は仲間の忍者の応援のつもりだったんですがね。。。
-
【レビュー】みんなが思い描く”忍者像”とはなにか?「忍者文芸研究読本」
”ニンジャというコトバのチカラ”というタイトルで記事を描いたんだけど、今年5月に発売された「忍者文芸
-
忍デリは高柳明音 (SKE48) 推しでござる!【ニンジャな人々】
「ニンジャな人々」と銘打って、忍者のような方々を取り上げているのですが、前回の”忌野清志郎ニンジャ説
-
忍者”愛”あふれる「落第忍者乱太郎」
最近、尼子騒兵衛先生の「落第忍者乱太郎」をよく読んでいます。 といってもコミックではなく絵本・
-
祝!くノ一武道大会で仲間の忍者が優勝!!!
じつはなんと先日お知らせした京都福知山で開催された「第18回くの一武道大会 丹波福知山の段」で、忍者
-
ジョン・ベルーシのビックリな身体能力?【ニンジャな人々】
ども!今日の【ニンジャな人々】なんですが、 いきなり「ジョン・ベルーシ(John Belush
- PREV
- 鎌ヶ谷でネパール料理を食べて踊る忍者